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中学生の今、どう自分の可能性を広げるか

中学生のうちに、たくさん失敗しておこう。

――高校受験では測れない「今」の価値



お盆が終わりました。


夏休みも後半です。


もうすぐ、

いつもの学校生活が戻ってきます。


部活動。

友達。

学校行事。

勉強。

そして、高校受験。


中学生にとって、

毎日は思っている以上に忙しいものです。



でも、今日は高校受験の話を少し横に置いて、


「中学生という時期には、

いったいどんな意味があるのか」


について考えてみたいと思います。



■ 中学生は、「自分が何者なのか」を探している


中学生になると、

小学生の頃とは少しずつ世界が変わっていきます。


自分と他人を比べるようになる。


得意なこと、苦手なことを意識する。


友達との関係を考える。


将来について、

少しずつ考え始める。


そして、


「自分って、どんな人間なんだろう」


という問いを持つようになります。


発達心理学では、

青年期はアイデンティティ、

つまり「自分はどんな人間なのか」という感覚を

形成していく重要な時期だと考えられています。


ここで大切なのは、


最初から答えを出す必要はない、


ということです。



■ 中学生のうちに、答えを決めなくていい


「将来何になりたい?」


と聞かれて、


「分からない」


と答える中学生は、

決して珍しくありません。


むしろ、

分からなくて当然です。


まだ、


自分が何を好きなのか。


何が得意なのか。


何に向いているのか。


十分には分からないからです。


だからこそ、

いろいろなことを経験してほしい。


部活動をやってみる。


新しいことに挑戦する。


苦手な教科にも向き合ってみる。


学校行事で役割を引き受けてみる。


人前で発表してみる。


今まで話したことのない人と話してみる。


そして、


「やっぱり自分には合わなかった」


と思うことがあってもいい。


それも、

大切な発見です。



■ 「失敗」は、まだ取り返せる


中学生の大きな強みは、

失敗しても、

そこからやり直す時間がたくさんあることです。


テストで思ったような点数が取れなかった。


部活動で思うような結果が出なかった。


友達との関係で悩んだ。


人前で失敗した。


頑張ったのに、

思うような結果が出なかった。


もちろん、

その瞬間は悔しいでしょう。


でも、


失敗したことそのものより、


「失敗したあと、どうするか」


のほうが、

長い人生では重要です。


もう一度やってみる。


方法を変えてみる。


誰かに相談する。


自分の弱点を見つける。


こうした経験は、

テストの点数には直接表れないかもしれません。


しかし、

確実に自分の中に残ります。



■ 「できること」だけをやっていても、自分は分からない


少し皮肉な話ですが、


「自分の得意なことを見つけよう」


と思って、

得意なことばかりやっていても、

自分の可能性は広がりません。


むしろ、


「これは苦手かもしれない」


と思うことにも、

一度挑戦してみる。


その経験の中から、


「意外と面白い」


が見つかることがあります。


最初は苦手だった数学が、

ある日突然分かるようになる。


人前で話すのが苦手だったのに、

発表を終えたら少し自信がつく。


部活動でできなかったことが、

練習を続けるうちにできるようになる。


人間の「得意」は、

最初から完成しているものばかりではありません。


経験によって、

自分の見え方が変わることがあります。



■ 「好き」は、最初から見つかるとは限らない


教育や動機づけの研究では、

人が学習に主体的に関わるためには、


「自分で選んでいる」


「自分にもできる」


「周囲とつながっている」


という感覚が重要だと考えられています。


自己決定理論では、

これを、


自律性。

有能感。

関係性。


という三つの基本的な心理的欲求として整理しています。


つまり、


「やらされている」


だけではなく、


「自分でやってみたい」


「少しできるようになってきた」


「誰かと一緒に頑張れる」


という経験が、

学びへの関わり方にも影響するのです。


だからこそ、


中学生のうちに

「自分でやってみる」経験を増やしてほしい。



■ 部活動も、学校行事も、「勉強の邪魔」ではない


もちろん、


部活動をしていれば成績が上がる。


学校行事に参加すれば受験に有利になる。


そんな単純な話ではありません。


勉強をしなければ、

学力は身につきません。


これは、

はっきりしています。


ただ、


課外活動や学校でのさまざまな活動には、

学業だけではない発達上の意味があることが、

これまでの研究で示されています。


社会とのつながり。


仲間との関係。


責任感。


自己理解。


さまざまな経験。


そうしたものを育てる場にもなり得ます。


だから、


「部活をしているから勉強できない」


と決めつける必要もなければ、


「部活をすれば勉強しなくてもいい」


と考える必要もありません。


大切なのは、

それぞれの時間をどう使うかです。



■ 中学生の勉強は、「受験のため」だけではない


ここは、

播磨塾として特に伝えたいところです。


高校受験のために勉強する。


もちろん、

それは大切です。


しかし、

それだけではありません。


英語を学ぶ。


数学を学ぶ。


国語を読む。


理科を理解する。


社会について知る。


これらは、


「高校に合格するためだけの知識」


ではありません。


世界を理解するための道具です。


例えば、


数学ができるようになると、

物事を論理的に考える練習になります。


国語を学ぶことは、

文章を正確に読み、

人の考えを理解する力につながります。


英語を学べば、

将来、触れられる情報や人の範囲が広がります。


だから、


「高校受験が終わったら勉強は終わり」


ではありません。


高校受験は、

学びのゴールではなく、

次の学びへ進むための一つの通過点です。



■ 「何のために勉強するのか」が分からなくてもいい


中学生から、


「将来の夢を持ちなさい」


と言われることがあります。


でも、


まだ決まっていなくても大丈夫です。


むしろ、

今の段階で一つの答えに決めつける必要はありません。


大切なのは、


「分からないから何もしない」


ではなく、


「分からないから、いろいろやってみる」


ことです。


勉強してみる。


部活動をしてみる。


本を読んでみる。


人と話してみる。


新しいことに挑戦してみる。


その中で、


「これは好きかもしれない」


「これは向いているかもしれない」


「これは違うかもしれない」


という発見が生まれてきます。


自分の未来は、

そうした小さな発見の積み重ねから

少しずつ見えてくるものなのかもしれません。



■ お盆が終わった今、もう一度考えてみよう


夏休みの後半です。


もし、


「もっと勉強すればよかった」


と思っているなら、

ここから始めればいい。


もし、


「部活ばかりだった」


と思っているなら、

ここから少し勉強の時間を増やせばいい。


もし、


「何もできなかった」


と思っているなら、

今日から一つ、

新しいことを始めればいい。


夏休みが終わることは、

何かが終わることではありません。


むしろ、


ここからまた、

新しい毎日が始まります。



■ 中学生のうちに、たくさん経験してほしい


中学生の皆さんに、

完璧な3年間を送ってほしいとは思いません。


もちろん、

やるべき勉強はやってほしい。


提出物も。


テスト勉強も。


日々の授業も。


高校受験に向けた準備も。


きちんとやってほしい。


その上で、


失敗してほしい。


挑戦してほしい。


迷ってほしい。


考えてほしい。


時には、

自分には向いていないことにも

挑戦してほしい。


なぜなら、


「自分が何者なのか」


は、


「何を経験したのか」


によって、

少しずつ形づくられていくからです。



■ 高校受験は、「未来を決める試験」ではない


高校受験は大切です。


志望校を考えることも、

勉強することも、

合格を目指すことも、

決して軽く考えてはいけません。


でも、


高校受験によって

人生のすべてが決まるわけではありません。


今の成績だけで、

あなたの可能性が決まるわけでもありません。


中学1年生なら、

まだまだこれからです。


中学2年生なら、

ここから大きく変わることができます。


中学3年生でも、

まだ成長する時間はあります。


だから、


今の自分だけを見て、


「自分はこんなものだ」


と決めつけないでください。



■ 中学生の「今」は、未来を決める時間ではなく、未来を広げる時間


中学生の3年間。


この時間は、


未来を決めるためだけの時間ではありません。


未来の選択肢を増やす時間です。


勉強して、


「分かる」を増やす。


挑戦して、


「できる」を増やす。


人と関わって、


「考え方」を増やす。


失敗して、


「次はどうするか」を覚える。


そうやって、


自分の可能性を少しずつ広げていく。


高校受験は、

その先にある一つの大きな目標です。


だからこそ、


高校受験のためだけに

中学校生活を過ごすのではなく、


中学校生活そのものを、

大切にしてほしい。


勉強もする。


部活動もする。


友達とも笑う。


挑戦もする。


失敗もする。


そして、


少しずつ自分の未来を考えていく。


そんな3年間でいいのです。



お盆が終わりました。


夏休みの後半、

まだできることはたくさんあります。


今日の自分より、

少しだけ前に進む。


それだけでも十分です。



中学生の皆さん。


まだ、

自分の未来を決めなくていい。


その代わり、


いろいろなことを経験してください。


そして、


「自分は何ができるんだろう」


という問いを、

これからも持ち続けてください。



播磨塾は、

高校受験のための学力を伸ばすことはもちろん、


その先にある、


「自分の可能性を自分で広げていける力」


も大切にしたいと考えています。



■ 参考・根拠


・Branje, S. et al. (2021)

Dynamics of Identity Development in Adolescence:

A Decade in Review


・Vandell, D. L. & Simpkins, S. D. (2024)

Organized Afterschool Activities as a Developmental Context

for Children and Adolescents


・Ryan, R. M. & Deci, E. L.

Self-Determination Theory:

Basic Psychological Needs in Motivation, Development, and Wellness


※本記事では、課外活動や学校生活が「必ず学力を上げる」といった単純な因果関係を主張するものではありません。


中学生という発達段階における自己理解、経験、動機づけ、学習との関係を踏まえ、

高校受験だけでは測れない中学校生活の意味について考えています。

 
 
 

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