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高校生活は、大学受験のためだけにあるのか。

高校生活は、大学受験のためだけにあるのか。

――「青春」と「学び」を教育学から考える



お盆が終わりました。


夏休みも後半に入り、

高校生にとっては、学校生活が再び動き始める時期です。


ここから、


学校。

部活動。

友人関係。

学校行事。

そして、大学受験に向けた勉強。


いくつものことを同時に進めていかなければなりません。



そこで、少し立ち止まって考えてみたいことがあります。


「高校生は、勉強だけをしていればいいのか。」


大学受験専門塾として、

私たちは、この問いに簡単に「はい」とは答えません。



■ 学校は「勉強する場所」だけではない


教育学では、

学校での学びを、単純に「教科の知識を身につけること」だけでは捉えません。


OECDのPISAでも、

生徒の学力だけではなく、


学校への所属感。

教師との関係。

友人関係。

学校生活への関与。

心理的・社会的なウェルビーイング。


といった側面が、生徒の学校生活を考える重要な要素として扱われています。


つまり、


「どれだけ勉強できるか」


だけではなく、


「どのような環境で、どのように学校生活を送っているか」


も教育を考える上で重要だということです。



これは、

「勉強しなくてもいい」という話ではありません。


むしろ逆です。


高校生の成長を考えるなら、

学力だけを切り離して考えることには限界がある、

ということです。



■ 「青春」は教育学的にも無意味ではない


部活動。


文化祭。


体育祭。


友人との関係。


学校でのさまざまな活動。


こうした経験を、

私たちは普段「青春」という言葉でまとめています。


しかし研究の世界では、

こうした学校内外の活動は「課外活動」などとして研究対象になっています。


そして、課外活動と学業成績との関係については、

「参加すれば必ず成績が上がる」という単純な結果ではありません。


近年の研究では、

課外活動への適度な参加は、学業面や学校への関与などと概ね肯定的な関連を示す一方、

活動が過剰になると勉強時間との競合が生じる可能性も指摘されています。


ここが大切です。


「部活をすれば成績が上がる」


という話ではありません。


「青春を送ることが、そのまま受験勉強になる」


という話でもありません。


そうではなく、


高校生活には、

勉強とは別の重要な発達的経験が含まれている、


ということです。



■ 高校生に必要なのは「時間の管理」だけではない


受験指導をしていると、


「一日何時間勉強すればいいですか?」


と聞かれることがあります。


もちろん、

勉強時間は重要です。


しかし、

時間だけを増やせば学力が伸びる、

というほど学習は単純ではありません。


学習には、


集中する力。


自分の状態を把握する力。


目標を設定する力。


計画を立てる力。


うまくいかなかったときに修正する力。


継続する力。


こうしたさまざまな要素が関係します。


そして、

これらは必ずしも机の前だけで身につくものではありません。


部活動で、


「今日はうまくいかなかった」


「次はどうすればいいだろう」


と考える。


学校行事で、


「このままでは間に合わない」


と気づいて計画を変更する。


友人との関係で、


「自分の考えだけが正しいわけではない」


と知る。


こうした経験も、

広い意味では「学ぶ」という行為です。



■ ただし、「青春」を美化しすぎてもいけない


ここで、

もう一つ大切なことがあります。


青春なら何でもいい、

というわけではありません。


部活動に毎日夢中になって、

勉強をほとんどしない。


友人との時間を優先して、

やるべきことを後回しにする。


「高校生活を楽しむ」という言葉を、

勉強から逃げる理由にしてしまう。


これは違います。


課外活動には時間的な競合があり、

活動への関わり方や量によって結果が変わることも研究で示されています。


だから必要なのは、


「勉強か青春か」


ではありません。


「高校生活の中で、

それぞれにどのような時間を配分するか」


です。



■ 「所属感」は、学びとも無関係ではない


もう一つ興味深い研究があります。


学校に対して、


「ここは自分の居場所だ」


「自分はこの学校の一員だ」


と感じることを、

教育研究では「学校への所属感」として扱います。


中等教育を対象としたメタ分析では、

学校への所属感と学業成績には小さいながらも肯定的な関連が確認されています。


また、

学習への動機づけや自己効力感、学校への関与などとも関連していました。


つまり、


友達がいる。


先生との関係がある。


学校に自分の居場所がある。


学校生活に意味を感じている。


こうしたことは、

単なる「青春の思い出」で終わるものではありません。


学校で学び続けるための環境とも関係しているのです。



■ だから、高校生活を「受験までの待ち時間」にしない


大学受験をする高校生にとって、

高校生活は、


「大学に合格するまでの待ち時間」


ではありません。


高校生活そのものが、

一つの教育の場です。


勉強をする。


部活動をする。


人間関係を築く。


失敗する。


考える。


やり直す。


挑戦する。


そのすべてが、

高校生という時期の成長に関わっています。


もちろん、

大学受験専門塾である播磨塾としては、


「志望校に合格するための学力を身につける」


ことを決して曖昧にはしません。


必要な知識を身につける。


必要な演習をする。


自分の弱点を分析する。


学習計画を立てる。


そして、

合格できるところまで学力を高める。


ここには妥協しません。


しかし同時に、


「合格のために高校生活のすべてを犠牲にする」


という考え方にも、

私たちは違和感を持っています。



■ 高校生に必要なのは「両立」というより「統合」なのかもしれない


勉強と青春を、


「二つの別々のもの」


として考えると、


「どちらを優先するか」


という問題になります。


でも、

本当はそうではないのかもしれません。


学校で学ぶ。


人と関わる。


挑戦する。


失敗する。


考える。


そして、

机に向かって知識を身につける。


これらはすべて、

高校生が成長していくための異なる経験です。


だから、


「勉強も頑張って、青春も楽しもう」


というだけではなく、


「高校生活そのものを、

自分を成長させる時間にする」


と考えてみてほしい。


その中に、

大学受験の勉強もある。


そう考えると、

受験は高校生活の敵ではありません。


高校生活の中にある、

一つの大きな挑戦になります。



■ お盆が終わった今だからこそ


夏休みの後半。


ここから学校生活が戻ってきます。


勉強が足りない人は、

ここから始めればいい。


計画が崩れた人は、

ここから修正すればいい。


部活動を頑張っている人は、

その経験を大切にすればいい。


友達との時間も、

学校行事も、

高校生だからこそできる経験として大切にすればいい。


ただし、


「何となく毎日を過ごす」


ことだけは避けてほしい。


勉強するときは勉強する。


学校では学校生活を大切にする。


部活動には本気で取り組む。


友達との時間も大切にする。


そして、

自分の未来について考える。


その一日一日が、

高校生活になります。



■ 高校生の「今」は、合格後のためだけにあるのではない


大学に合格することは、

もちろん大切です。


私たちは、

大学受験専門塾として、

そのために全力を尽くします。


でも、


高校生活は、

大学合格のためだけに存在するものではありません。


高校時代に、


何を学び、


誰と出会い、


何に挑戦し、


何に失敗し、


どんな自分になったのか。


それもまた、

その人の人生に残っていきます。


だからこそ、


勉強を軽視しない。


でも、

勉強だけにもならない。


「青春」と「受験」を対立させない。


高校生には、


学ぶことも、

楽しむことも、

挑戦することも、


全部やってほしい。


それは、

受験を軽く考えることではありません。


むしろ、


自分の高校生活そのものに、

責任を持つということなのだと思います。



お盆が終わりました。


夏休みの残り時間を、

ただ「勉強時間」として数えるのではなく、


これからの高校生活を、

どう過ごすのか。


一度、

考えてみてください。


そして、


「高校生活をちゃんと生きながら、

大学受験にも本気で挑む。」


そんな高校生であってほしい。


播磨塾は、

その両方を応援する大学受験専門塾でありたいと思っています。



■ 参考・根拠


・OECD

PISA 2018 Results Volume III:

What School Life Means for Students’ Lives


・OECD

PISA関連研究

学校への所属感、学校生活、ウェルビーイングに関する研究


・Korpershoek et al. (2020)

The relationships between school belonging and students’

motivational, social-emotional, behavioural, and academic outcomes

in secondary education: a meta-analytic review


・O’Flaherty et al. (2022)

Do extracurricular activities contribute to better adolescent outcomes?

A fixed-effects panel data approach


※本記事では、研究結果を「部活動をすれば成績が上がる」といった単純な因果関係として扱わず、

高校生活・学校への所属感・課外活動・学習との関連を踏まえて紹介しています。


 
 
 

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