東洋大学附属姫路中高一貫校を、大学受験の視点から考える
東洋大学附属姫路中高一貫校を、大学受験の視点から考える
■ はじめに
中学受験を考えるとき、私たちはつい「どこの学校に入るか」を考えます。
しかし、大学受験を専門に指導している立場からすると、本当に大切なのは、その先です。
その学校で6年間を過ごしたとき、
「入学時より、どれだけ成長しているのか。」
「どれだけ自分で考えて学べるようになっているのか。」
「そして、どこまで大学受験の可能性を広げられているのか。」
私は、そこを見ることが大切だと思っています。
今回は、東洋大学附属姫路中学校・高等学校について、学校の公表している教育方針だけではなく、これまで実際に同校の生徒たちを指導してきた塾長としての視点も交えながら、できるだけ率直に考えてみたいと思います。
■ 「東洋大学の附属校」だけでは語れない学校
東洋大学附属姫路中学校・高等学校には、もちろん「東洋大学の附属校」という大きな特徴があります。
これは、学校選びを考えるうえで大きな安心材料の一つでしょう。
ただ、それだけで学校を捉えるのは少しもったいないと思います。
現在の東洋大姫路中高一貫校は、「考えるを、学ぶ。」を掲げ、哲学教育、探究、グローバル教育、キャリア教育などにも取り組んでいます。
つまり、単に大学への進学先を用意する学校ではなく、
「6年間を使って、どのような人間、どのような学習者を育てるのか」
を考えている学校です。
そして、ここに私は東洋大姫路の可能性を感じています。
■ 中高一貫教育の本当の価値は「6年間」にある
中高一貫教育の最大のメリットは、高校受験がないことだけではありません。
私は、
「6年間を一つの流れとして使えること」
に大きな意味があると思っています。
中学1年生で基礎をつくる。
中学2年生、3年生で学習内容を深める。
高校生になって大学受験を意識し始める。
高校2年生で具体的な進路を考える。
そして高校3年生で志望大学に向けて仕上げていく。
この流れを途中で高校受験によって分断されることなく設計できる。
これは大きな強みです。
ただし、6年間という時間があることと、その6年間を有効に使えることは、同じではありません。
ここが、中高一貫教育を見るうえで非常に重要なところです。
■ 「先取り」だけでは、大学受験にはつながらない
中高一貫校では、一般的な高校受験をする学校よりも早い段階で高校内容に入ることがあります。
しかし、
「早く進むこと」と「深く理解すること」は別です。
さらに、
「授業で理解すること」と「自分で問題を解けること」も別です。
大学受験を指導していると、この違いを強く感じます。
授業では分かっていた。
学校の定期テストでは点数が取れていた。
ところが、模試になると解けない。
大学入試の問題になると手が止まる。
こうしたことは珍しくありません。
だからこそ、中高一貫教育では、
「どこまで進んだか」
だけではなく、
「どこまで身についたか」
を見る必要があります。
■ 実際に生徒を見てきて感じること
ここからは、少し踏み込んで書きたいと思います。
播磨塾では、これまで東洋大学附属姫路中高一貫校の生徒たちを指導する機会がありました。
これまで同校の中高一貫生を何人も指導してきたからこそ、学校の外側から見えてくることもあります。
もちろん、一人ひとりの先生がどのような思いで指導されているのかを、私たちがすべて知っているわけではありません。
また、一部の生徒を見ただけで学校全体を評価することもできません。
そのうえで、長く生徒を見てきた立場から感じることがあります。
それは、
「学校として掲げている教育理念と、日々の教科学習とのつながりが、どこまで生徒の中に一本の線として見えているのだろうか」
ということです。
東洋大姫路には、熱心に生徒と向き合っている先生もいらっしゃるでしょう。
教科指導に長けた先生もいらっしゃると思います。
一方で、生徒たちと接していると、教科ごとの学習がそれぞれ独立して見える場面もあります。
数学は数学。
英語は英語。
国語は国語。
それぞれの教科で、それぞれの先生が指導する。
それ自体は、もちろん自然なことです。
しかし、大学受験という一つの出口から考えたとき、
「6年間を通して、学校全体として生徒をどこへ導いているのか」
という部分が、生徒自身にも見えていることが重要なのではないかと思います。
■ 「個々の指導力」を「学校全体の教育力」へ
これは東洋大姫路だけの話ではありません。
どこの学校にも、非常に指導力の高い先生がいます。
生徒から信頼される先生もいます。
一方で、先生によって授業の進め方や生徒への関わり方に違いがあることも、学校という組織では自然なことです。
だからこそ重要なのは、その一人ひとりの先生の力を、学校全体の教育力としてどこまで結びつけられるかだと思います。
一人の先生の指導が素晴らしい。
別の先生の指導も素晴らしい。
それだけでは、必ずしも「学校としての教育力」にはなりません。
「この学校の生徒を6年間でこう育てる」
という共通した方向性があり、その方向へ各教科の指導がつながっていく。
私は、それが中高一貫教育の強さにつながると思っています。
東洋大姫路には、すでに「考える」「探究」「キャリア」といった教育理念があります。
だからこそ、今後さらに期待したいのは、それらが日々の英語、数学、国語、理科、社会の学習の中に、どのように一貫して現れていくのかということです。
■ 入学時の力を、6年間でどこまで引き出せるか
もう一つ、私が東洋大姫路について感じていることがあります。
それは、
「入学してくる生徒たちが持っている力を、6年間でどこまで引き出せるのか」
ということです。
中学受験を経て入学してくる生徒たちは、それまでに一定の学習経験を積んできています。
もちろん、生徒によって学力も性格も違います。
しかし、せっかく中学受験をして入学してきた生徒たちです。
その生徒たちが持っている力を、
「学校の授業についていける」
というところで終わらせるのか。
それとも、
「自分から学び、考え、大学受験で使える力」
まで伸ばしていくのか。
ここには大きな違いがあります。
私は、中高一貫校だからこそ、この部分に期待したいと思っています。
なぜなら、6年間という時間があるからです。
■ 「東洋大姫路で学んだ生徒らしさ」とは何なのか
学校には、それぞれの学校らしさがあります。
校風。
行事。
部活動。
生徒同士の雰囲気。
そして、教育そのものにも「学校らしさ」があります。
では、
「東洋大学附属姫路中高一貫校で6年間学んだ生徒は、どのような力を身につけているのか。」
私は、これが今後さらに明確になっていくことを期待しています。
哲学教育を学んだ。
探究活動を経験した。
グローバル教育を受けた。
キャリアについて考えた。
こうした経験が、日々の教科学習と結びつき、さらに大学受験に必要な学力と結びついたとき、
「東洋大姫路で6年間学んだからこそ身についたもの」
が見えてくるのではないでしょうか。
学校として掲げている教育理念が、単なるプログラムとして終わらず、生徒の思考や学習姿勢として表れる。
そこまで到達すれば、東洋大姫路の中高一貫教育には、より大きな特色が生まれると思います。
■ 東洋大学附属という「安心」と、その先
東洋大学の附属校であることには、大きな意味があります。
将来の進路について、一定の選択肢を持てること。
これは、中高6年間を過ごすうえで精神的な余裕にもつながるでしょう。
しかし、その安心感を、
「だから勉強しなくても大丈夫」
という方向に使ってしまうのは、非常にもったいない。
むしろ逆だと思います。
進路の選択肢があるからこそ、
「もっと上を目指してみよう」
「自分が本当に学びたいことを探してみよう」
と考えられる。
東洋大学への進学という選択肢を持ちながら、それ以外の大学も含めて自分の進路を考える。
その自由度こそ、附属校の一つの魅力ではないでしょうか。
■ 中高一貫校だからこそ「学校任せ」にしない
ここも、保護者の方にはぜひお伝えしたいところです。
どれほど教育環境の整った学校でも、
「学校に任せておけば大学受験まで何とかなる」
とは限りません。
これは東洋大姫路に限った話ではありません。
学校には学校の教育があります。
塾には塾の役割があります。
そして最終的には、生徒本人が学ぶ必要があります。
学校の授業で理解する。
家庭で復習する。
必要なら塾で質問する。
模試で現在地を確認する。
弱点を修正する。
志望大学から逆算して学習する。
こうした積み重ねがあって、6年間が初めて大学受験につながります。
■ 私が東洋大姫路に期待していること
ここまで少し厳しいことも書きました。
しかし、これは東洋大姫路を否定したいからではありません。
むしろ、これまで生徒たちを見てきたからこそ、
「この生徒たちが持っている力を、もっと伸ばせるのではないか」
と思うことがあります。
中学受験を突破して入学してきた生徒たち。
6年間という時間を持っている生徒たち。
そして、哲学、探究、グローバル、キャリアという教育環境を持っている生徒たち。
この条件がそろっているのであれば、その先にはさらに大きな可能性があるはずです。
その可能性を、学校全体としてどこまで引き出していくのか。
私は、そこに注目しています。
■ 2026年、東洋大姫路中高一貫校はどの段階にあるのか
東洋大学附属姫路中学校は2014年に開校しました。
2026年3月には第10期生が中学校課程を修了しています。
ただし、ここは正確に理解しておく必要があります。
第10期生は2026年3月に中学校課程を修了した段階であり、6年間の中高一貫教育を修了した卒業生という意味ではありません。
2026年度には、一貫高校1年生として後半の3年間へ進んでいます。
一方、2026年度の一貫高校3年生は第8期生です。
つまり、現在は中高一貫教育の卒業生が積み重なり始め、これからさらに長期的な教育成果を見ていくことができる段階にあります。
私は、この「これから」に注目しています。
■ 中学受験は「入学する学校」を選ぶことではない
中学受験では、合格した瞬間が大きな目標になります。
しかし、大学受験を指導している私からすると、そこはスタート地点です。
中学1年生。
中学2年生。
中学3年生。
高校1年生。
高校2年生。
高校3年生。
この6年間をどう過ごすか。
その結果として、
「どの大学で、何を学ぶのか」
が決まっていきます。
だから、学校選びでは、
「今、どれくらい良い学校なのか」
だけではなく、
「この学校で6年間過ごしたら、どんな18歳になっているだろう」
と考えてほしいと思います。
■ 播磨塾として
播磨塾は大学受験専門塾です。
私たちは、学校と競争する立場ではありません。
学校には学校にしかできない教育があります。
そして塾には、塾だからこそできることがあります。
学校で学んだことを、大学受験につながる学力へ整理する。
今の学力と志望大学との距離を確認する。
必要な学習を逆算する。
そして、生徒自身が「何をすればいいのか」を分かる状態にする。
それが、大学受験専門塾としての私たちの役割だと考えています。
これまで東洋大学附属姫路中高一貫校の生徒たちを何人も指導してきました。
だからこそ、私たちは同校を外から批評するだけではなく、
「この生徒たちが持っている力を、どうすればもっと伸ばせるのか」
という視点で見ています。
学校の教育を否定するのではなく、学校で学んでいることを土台として、その先にある大学受験につなげていく。
それが、私たちが生徒たちと向き合うときに大切にしていることです。
■ 最後に
東洋大学附属姫路中高一貫校には、6年間という大きな時間があります。
東洋大学附属校としての安心感もあります。
哲学教育、探究、グローバル、キャリア教育という環境もあります。
そして、中学受験を経て入学してくる生徒たちがいます。
これらを考えると、私はこの学校にはまだまだ伸びる余地があると思っています。
その一方で、
「学校として掲げる教育理念が、日々の教科学習の中でどこまで一つにつながっていくのか。」
「先生方それぞれの指導力を、学校全体の教育力としてどこまで結集できるのか。」
「入学時に持っている生徒たちの力を、6年間でどこまで引き出せるのか。」
この3点は、今後の東洋大姫路を見るうえで、私は特に注目したいところです。
これは批判ではありません。
6年間という時間を持つ中高一貫校だからこそ、期待したいことです。
中高一貫校の価値は、
「中学受験に合格したこと」
でも、
「高校受験がないこと」
でもありません。
6年後に、
「この学校に入ってよかった」
と生徒自身が思える成長をしていること。
そして、
「ここへ行きたい」
と思える大学を自分で見つけられていること。
私は、それこそが中高一貫教育の一つの到達点だと思います。
東洋大学附属姫路中高一貫校が、これからどのような6年間をつくり、どのような卒業生を送り出していくのか。
姫路で大学受験を指導する一人として、そしてこれまで同校の生徒たちと接してきた塾長として、これからも注目していきたいと思います。
播磨塾は、学校での学びを尊重しながら、その先にある大学受験までを一緒に考えていきます。
6年間という時間を、未来につなげるために。
※本稿は、東洋大学附属姫路中学校・高等学校が公表している教育方針・学校情報等を参考にし、播磨塾としての視点を加えて考察したものです。学校や教職員個人を批判することを目的としたものではありません。




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