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東京大学を目指す日本の受験生、北京大学を目指す中国の受験生――最難関大学への道は、どう違うのか

19 時間前
読了時間: 8分

東京大学を目指す日本の受験生、北京大学を目指す中国の受験生

――日本と中国、大学受験はどちらが熾烈なのか



■ 同じ「最難関大学」を目指していても、競争の形が違う


これまで、中国の大学入試「高考」について、


「1,290万人」という受験規模、


「何点取ったか」だけではなく「その省で何位にいるのか」という「位次」、


そして、大学の募集枠が地域ごとに設定される仕組みについて見てきました。


では最後に、日本の大学受験と比べてみたいと思います。


日本で東京大学や京都大学を目指す高校生。


中国で北京大学や清華大学を目指す高校生。


もちろん、東京大学と北京大学、京都大学と清華大学の入試難易度を、そのまま一対一で比較することはできません。


入試制度も受験人口も募集方法も違うからです。


ここで比べたいのは大学そのものではなく、


「それぞれの国で最上位の大学を目指す受験生が、どのような競争の中にいるのか」


ということです。



■ 東京大学を目指すなら、「東京大学の入試」に合わせる


日本の国公立大学では、大学入学共通テストと大学ごとの個別試験を組み合わせて選抜する方式が一般的です。


東京大学でも、共通テストに加え、大学独自の第2次学力試験が課されます。


つまり東京大学を目指す受験生は、


「共通テストで高得点を取る」


だけでは足りません。


東京大学の二次試験で求められる力を考え、


どの科目を、

どこまで仕上げ、

限られた時間をどう配分するのか。


そこまで考えて勉強を組み立てていく必要があります。


京都大学など他の難関国公立大学を目指す場合には、また違った試験への対応が必要になります。


日本の大学受験では、


「どの大学を受けるのか」


によって、勉強の設計そのものが変わってくるのです。



■ 日本の難関大学を目指す高校生は、どのくらい勉強しているのか


では、日本の高校生はどのくらい勉強しているのでしょうか。


東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所による2024年の調査では、高校3年生が9月ごろ、学校のある日に行っていた「宿題以外の勉強」は平均1時間42分でした。


偏差値55以上の大学へ一般入試で進学した生徒に限ると、


1日平均3時間03分。


さらに、学校の宿題が平均43分あります。


合わせると、学校の授業とは別に、およそ3時間46分です。


ただし、ここは注意が必要です。


これは東京大学や京都大学の合格者だけを調べた数字ではありません。


したがって、


「東大合格者は毎日3時間03分勉強している」


という意味ではありません。


日本の比較的難易度の高い大学へ一般選抜で進学した層の学習時間を知る、一つの目安として見るべき数字です。



■ では、北京大学を目指す中国の受験生はどうなるのか


中国では、競争の形が少し違います。


北京大学を目指す場合、


「北京大学に入るには高考で何点必要なのか」


という問いだけでは十分ではありません。


これまで見てきたように、中国では大学の募集枠が地域ごとに設定されるため、高考の得点だけではなく、


その点数による省内順位、


そして、


自分の省に北京大学の募集枠がどれだけあるのか


を見る必要があります。


つまり、


「700点なら北京大学に入れる」


という単純な仕組みではありません。


同じ点数でも、年度や地域によって、その点数が持つ意味は変わります。


北京大学や清華大学を目指すなら、高得点を取るだけでなく、


「その地域の受験生の中で、極めて高い位置に入る」


ことが重要になります。



■ 中国の最上位層は、どのくらい勉強しているのか


では、その最上位層はどのくらい勉強しているのでしょうか。


中国について、日本と同じ条件で「北京大学・清華大学合格者の平均勉強時間」を示す新しい全国統計は、簡単には見つかりません。


そのため、


「北京大学に合格するには毎日○時間必要」


と断定することはできません。


ただ、中国の最上位層の学習量を知る参考になる調査があります。


2015年、中国21の省・直轄市の高考「状元」29人を対象に行われた調査では、授業以外の普段の学習時間について、


4~6時間 51.72%

6~8時間 13.79%

8時間以上 10.34%


という結果が出ています。


半数以上が、学校の授業とは別に毎日4~6時間勉強していたことになります。


さらに高考直前の1週間では、


6~8時間 37.93%

8時間以上 37.93%


でした。


「状元」とは各地域の最高得点層であり、北京大学・清華大学の一般的な合格者そのものではありません。


ただ、中国の最上位層がどれほどの学習量を積んでいたのかを見る、一つの材料にはなります。



■ この数字だけで「中国のほうが勉強している」とは言えない


ここは、とても重要です。


日本側の数字は、


「偏差値55以上の大学へ一般入試で進学した生徒」。


中国側の数字は、


「各地域の最高得点層」。


そもそも調査対象が違います。


したがって、


日本 約3時間

中国 4~6時間以上


と数字だけを横に並べ、


「中国の受験生のほうが日本より勉強している」


と結論づけることはできません。


調査された時期も、対象となる生徒も、勉強時間の定義も違います。


むしろ、この数字から読み取りたいのは、


「最難関大学を目指す競争の中で、どのような学習生活が生まれているのか」


ということです。



■ 「学校が終わってから」だけを比べても分からない


もう一つ考えておきたいのが、学校で過ごす時間です。


OECDのPISA 2018では、北京・上海・江蘇・浙江の15歳の生徒は、学校内の授業だけで平均週31.8時間を学習していました。


また、OECDの別の分析では、中国の対象地域は、学校内外を合わせて週54時間以上を学習する教育システムの一つとされています。


つまり、


「家で何時間勉強したのか」


だけでは、日中の学習量を正確に比較することはできません。


学校での学習、

宿題、

家庭学習。


そのすべてを含めて考える必要があります。



■ 一人の受験生の「一日」に置き換えてみる


ここまでの数字を、一人の高校生の生活に置き換えてみましょう。


日本で東京大学や京都大学などの最難関大学を目指す高校生。


朝から学校で授業を受け、放課後は塾や自習室、自宅などで勉強する。


そして、


「どの科目を、いつまでに、どの水準まで仕上げるのか」


を考えながら、共通テストと大学独自の二次試験に向けて時間を配分していきます。


一方、中国の最上位層では、学校で長時間学んだうえに、授業外でも4~6時間、さらに高考直前にはそれ以上勉強していた例があります。


その先にあるのは、


「何点取れるか」


だけではなく、


「その点数で、自分の省の何位に入れるのか」


という競争です。


同じ最難関大学を目指していても、受験生が置かれている競争の形は大きく違います。



■ では、日本と中国、どちらの大学受験が熾烈なのか


ここまで読めば、


「結局、どちらが大変なのか」


と思われるかもしれません。


学習時間や地域内順位をめぐる競争を見る限り、中国の最上位層が置かれている受験環境には、非常に強い競争圧力があることが分かります。


北京大学や清華大学を目指すのであれば、高考で高得点を取るだけではなく、


「自分の地域の中で、極めて高い位置に入る」


ことが求められます。


しかも、その競争を勝ち抜くために、非常に長い時間を勉強に投入している最上位層の例もあります。


これが、中国の高考における「熾烈さ」の一つでしょう。


一方、日本で東京大学や京都大学を目指す場合には、共通テストに加えて、それぞれの大学が課す個別試験への対応が必要になります。


「どの科目を、どの水準まで、いつまでに仕上げるのか」


という入試設計も重要です。


つまり、中国と日本では、「熾烈さ」が表れる場所が違います。


中国では、巨大な受験人口を背景にした地域内順位の競争。


日本では、大学ごとに異なる試験に合わせて学力を仕上げていく競争。


どちらが上、どちらが下という単純な比較ではなく、


「何をめぐって競争しているのか」


その違いを見ることが、日中の大学受験を理解するうえでは重要なのだと思います。



■ 中国は「順位」の重み、日本は「入試設計」の複雑さ


両国の違いを整理すると、中国の大学受験では、


「高考で取った点数が、地域内で何位になるのか」


という順位の重みが非常に大きい。


一方、日本では、


「志望大学の試験で、どの科目をどこまで仕上げるのか」


という入試設計の重要性が大きくなります。


もちろん、中国にも志望校や専攻を選ぶ戦略があり、日本にも順位をめぐる競争があります。


それでも制度を比べてみると、


中国では「地域内順位の重み」が、


日本では「大学ごとに異なる入試への対応」が、


それぞれ強く表れていると言えるでしょう。



■ 1,290万人という数字から始めて


中国の高考について調べ始めると、


「受験生1,290万人」


という数字の大きさに、まず驚かされます。


しかし、ここまで見てくると、本当に重要なのは1,290万人という数字だけではないことが分かります。


何点取ったのか。


その点数で、地域の何位なのか。


その地域に、志望大学の募集枠はいくつあるのか。


そして、その位置に入るために、受験生たちはどれほど勉強しているのか。


そこまで見て初めて、中国の大学受験の姿が少し見えてきます。


日本と中国。


どちらの受験が「大変か」を、一つの数字で決めることはできません。


ただ、制度が違っても、一つだけ共通していることがあります。


何時間勉強したか以上に、

その時間で何を積み上げたのか。


日本でも中国でも、大学受験で本当に問われるのは、時間の長さだけではないのだと思います。


 
 
 

1件のコメント


Alaina Naaz
12時間前

Fascinating comparison! While both pathways demand extreme dedication, the contrast between China's single-exam Gaokao system and Japan's multi-stage entrance examination process highlights really interesting differences in institutional selection and student pressure. Great breakdown of two of Asia's most rigorous academic journeys https://jarvisreach.io/blog/chai-ai-guide/


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