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高校数学、最初の3ページに潜む宝物

「高校数学で一番大事な単元はどこですか?」


 長年高校生と向き合い、大学受験という目標を見据えてきた私の経験から、あえて一つ挙げるとすれば、それは数学Ⅰの教科書を開いてすぐの、ほんの最初の3ページ、『整式』という単元だと断言できます。


 驚かれる方もいるかもしれません。「え?あんな基礎的なところ?」と。実際、多くの先生方がこの部分を「さらっと読んでおけば誰でもわかる」と判断し、授業で深く掘り下げることは少ないと聞きます。そして、残念ながら、その言葉を鵜呑みにした生徒たちは、表面的には理解したつもりになってしまうのです。

 

 しかし、この最初の3ページにこそ、高校数学、ひいては大学受験という長い道のりを歩む上で、極めて重要な“視点”が隠されているのです。「次数」「定数項」「降べきの順」といった、一見すると単純な言葉たち。しかし、その説明にほんの少し、数学の問題を解く上で欠かせない考え方を加えるだけで、生徒たちの数学に対する理解度は劇的に深まります。

具体的にどのような“視点”なのか、この場で詳細に語ることは難しいのですが、それは問題を構造的に捉え、本質を見抜くための第一歩と言えるでしょう。この最初の段階でその視点をしっかりと身につけているかどうかで、その後の学習の進捗、そして何より応用問題への対応力が大きく左右されるのです。


 例えば、高1で最初につまずきやすい「関数」。その概念を深く理解するためには、「変数」というものがどのように式の中で振る舞い、それがグラフとしてどのように表現されるのか、という視点が不可欠です。これはまさに、「整式」で学ぶ「次数」や「定数項」といった要素と深く結びついています。

さらに、「方程式・不等式」では、式を「変形する」という操作の意味を理解することが重要になります。これも、「降べきの順」に整理する、という一見単純な作業の中に潜む、論理的な思考の訓練に通じるのです。「図形と方程式」「軌跡・領域」「微分・積分」…挙げればきりがありません。高校数学のあらゆる単元において、この最初の3ページで培われるべき“視点”は、羅針盤のように生徒たちの学習を導いてくれるはずです。


 数学Ⅰの最初の3ページ、そして数学Aのある3ページ。この計6ページの中に、高校数学6冊分の学習をスムーズに進めるための、そして何よりも数学という学問の面白さを知るための、かけがえのない種が詰まっているのではないでしょうか。私はそう信じて、これからも生徒たちにこの大切な最初のページの奥深さを伝えていきたいと思っています。


 
 
 

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