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英語は「科目」か「言語」か

なぜ日本の教育で英語を勉強するのか ―日本語の優秀性と日本社会の特性から考える― (英語講師としての視点を含めて) 私は英語講師として日々生徒と接する中で、「なぜ英語を勉強しなければならないのか」という問いを繰り返し受けます。 この問いは非常に本質的であり、単なる語学学習の話ではなく、日本という言語環境そのものの特性に深く関係しています。 特に重要なのは、日本語が非常に完成度の高い言語であり、日本社会が“日本語だけで高度に成立している”という点です。 --- ■ 1. 日本語は非常に高度に発達した言語である 日本語の特徴は、単なるコミュニケーション手段を超えて、非常に精密な情報表現が可能な点にあります。 ・主語を省略できる ・文脈によって意味が成立する ・敬語によって関係性や距離感まで表現できる これにより、日本語は「情報量を圧縮しながら高度な意味を伝える言語」として機能しています。 さらに、曖昧さを許容する構造によって、状況に応じた柔軟な解釈が可能になります。 --- ■ 2. 日本語社会は「日本語だけで完結する」構造を持つ 日本では、 ・行政 ・教育 ・医療 ・ビジネス ・日常生活 のほぼすべてが日本語で成立しています。 これは世界的に見てもかなり特殊な環境であり、「国内の主要機能が単一言語で完結する国家」は多くありません。 その結果、日本では英語を使わなくても生活が成立してしまいます。 --- ■ 3. 日本語は外来概念を吸収しやすい言語でもある 日本語は外来語を積極的に取り込み、 ・コンピュータ ・サービス ・マーケティング といった概念をカタカナ語として日本語体系に統合します。 また、翻訳文化も非常に発達しており、海外の情報が自然に日本語化されて入ってくる仕組みが整っています。 そのため、日本では英語を直接扱わなくても、情報にアクセスできてしまう構造があります。 --- ■ 4. なぜ日本人は英語を使う必要性が少ないのか 以上の理由から、日本では ・日本語だけで社会が成立する ・情報が翻訳されて入ってくる ・英語を使う場面が限定的 という状態が成立しています。 つまり、日本は「英語を使わなくても困らない構造」を持つ非常に珍しい国です。 --- ■ 5. それでも英語を学ぶ理由(英語講師としての視点) 私は英語講師として、多くの生徒を見てきましたが、英語学習の本質は「英語を使うこと」そのものではありません。 むしろ重要なのは、 「日本語という完成された言語環境の外側にアクセスできるかどうか」です。 英語を学ぶことで、 ・世界の一次情報に直接触れられる ・異なる価値観や思考様式にアクセスできる ・将来の選択肢が広がる といった変化が生まれます。 --- ■ 6. 英語教育の役割 日本の英語教育は、英語を日常的に使う環境が少ないため、 ・英語に触れる機会を意図的に作る ・将来のための基礎力を養う ・世界とつながる準備をする という役割を担っています。 これは「すぐに使うための訓練」というよりも、 「必要になったときに対応できる状態を作る教育」と言えます。 --- ■ まとめ 日本語は、 ・高い表現力 ・文脈理解力の高さ ・社会インフラとしての完成度 を持つ、非常に優れた言語です。 その結果、日本は「英語がなくても社会が成立する国」になっています。 しかしその一方で、それは「外の世界と直接つながる必要が自然には生まれにくい環境」でもあります。 だからこそ英語教育とは、 **日本語という完成された世界の外側に、もう一つの接続口を持つための学び** であり、私は英語講師として、その橋渡しをする役割に意味があると考えています。



 
 
 

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