日本の試験制度について考えるとき、誰もが一度は気付くような点について述べたいと思います。日本人は真面目な国民性を持ち、公的な発表や制度に対して敏感かつ従順です。このため、2025年に実施される大学入学共通テストについて、多くの人が神経を尖らせているのではないでしょうか。私自身も受験に関わる者として、細部にまで注力するつもりです。
しかしながら、こういった時期には、渦中から一歩引いて物事を客観的に見る視点も重要です。ここ10年で大学入試に関する最大の改革といえば、2021年に実施されたセンター試験から共通テストへの移行でしょう。その際の状況を振り返ってみたいと思います。
共通テスト初年度の試験が終わった直後、多くのメディアが「難易度は例年と同じか、やや易化した」と報じていました。しかし、この「例年」という表現に違和感を覚えたことを記憶しています。センター試験から新しい共通テストへ移行した以上、単純に「例年」と比較することは適切ではないのではないでしょうか。また、センター試験時代の平均点を60点前後から50点に下げると発表されていたこともあり、メディアの論調に疑問を抱きました。実際、2020年に行われた最後のセンター試験のほうが、2021年の共通テストよりも難しかったのは事実です。
公的試験の法則性
ここで一つの結論を述べると、日本の公的な試験は新制度が導入される際、基本的に易化する傾向があります。そして、移行前の試験は例外なく難化します。この現象は法則と言えるほど明確で、理由については各自の想像にお任せします。
大学入試以外の例として、宅地建物取引士(宅建)の試験を挙げてみます。この国家資格は1958年に創設されましたが、当初の合格率は50~60%に達していました。その後、現在の水準となったのは昭和60年代頃です。概ね、13%から18%で推移しています。このように、新制度の試験は当初、比較的易しく設定されることが一般的です。また、主催者側が推奨する形式に沿った準備を行うことが、結果的に有利になることが多いと言えます。したがって、制度の流れに逆らわず、適応することが賢明でしょう。
私立大学の状況
最後に、関連する情報として、播磨塾で実施されている私立大学の入試説明会について触れておきます。関西学院大学、関西大学、立命館大学などの担当者からは、「私立大学の入試に大きな変化はない」とのコメントが得られました。この点も参考にしていただければ幸いです。
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