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教育現場から見える、本当の学力。― 点数では測れない「伸びる生徒」の共通点 ―

ここまで、本稿では統計学、教育学、認知科学、教育心理学、そして国際的な教育政策の視点から、「偏差値」と「学力」について考えてきました。


では、実際の教育現場ではどうなのでしょうか。


研究は、多くのことを教えてくれます。


しかし、教育は研究室ではなく、一人ひとり異なる生徒が集まる教室で行われます。


そこには数字だけでは見えない現実があります。


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同じ偏差値でも、未来は大きく変わる


教育現場では、同じ偏差値からスタートしても、その後の成長が大きく異なる生徒を数多く目にします。


春の模試では同じ偏差値55だった二人が、一年後には10以上の差になることも珍しくありません。


これは、最初の学力だけでは説明できません。


もちろん、生まれ持った特性や学習環境の違いはあります。


しかし、それだけではありません。


教育現場で繰り返し見られるのは、「学び方」の違いが、時間とともに大きな差を生み出していくという事実です。


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伸びる生徒は、「できる人」ではない


「成績が伸びる生徒」と聞くと、多くの人は最初から勉強が得意な生徒を想像するかもしれません。


しかし、教育現場では必ずしもそうではありません。


むしろ、大きく成績を伸ばす生徒には、いくつかの共通点があります。


分からないことをそのままにしない。


間違えた問題を分析する。


質問することを恥ずかしいと思わない。


学習方法を改善し続ける。


そして何より、「昨日の自分」と比較しながら学ぶ習慣を持っています。


反対に、高い能力を持ちながら伸び悩む生徒もいます。


その多くは、「分かったつもり」で学習を終えてしまったり、成功体験に頼り過ぎたりする傾向があります。


教育現場では、才能そのものよりも、「学び続ける姿勢」が結果を左右する場面を数多く目にします。


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結果だけを見ると、本当の成長を見失う


模試の成績は、努力を客観的に確認するための大切な資料です。


しかし、一枚の成績表だけでは、その生徒の成長を十分に理解することはできません。


例えば、偏差値が変わらなかった生徒がいたとします。


数字だけを見れば、「成長していない」と判断されるかもしれません。


しかし、その数か月の間に、


勉強する習慣が身についた。


苦手科目から逃げなくなった。


ノートの取り方が変わった。


復習の方法を身につけた。


こうした変化が起きていることは珍しくありません。


これらは、次の成績向上につながる「見えない土台」です。


植物が地面の上に芽を出す前に、土の中で根を張るように、学力にも数字として表れる前の準備期間があります。


教育とは、その根を育てる営みでもあります。


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教育とは、「答え」を教える仕事ではない


教育者の役割は、正しい答えを教えることだけではありません。


「なぜそう考えたのか。」


「別の考え方はあるのか。」


「もっと良い方法はないか。」


そうした問いを通して、生徒自身が考える力を育てることです。


現代は、インターネットやAIによって、多くの情報に簡単にアクセスできる時代です。


だからこそ、「知っていること」よりも、「考え続けること」の価値が高まっています。


答えを覚えることは、学びの終わりではありません。


自分で問いを立て、新しい答えを探し続けることが、本当の学びにつながります。


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偏差値は、教育の一部である


ここまで読んできた方は、もうお気づきかもしれません。


偏差値は必要です。


しかし、偏差値だけでは教育は成り立ちません。


同じように、


努力だけでも足りません。


才能だけでも足りません。


環境だけでも足りません。


教育とは、


学力。


学習方法。


心理。


環境。


そして、人との関わり。


それらが重なり合いながら、一人の成長を支えていく営みです。


偏差値は、その一部を客観的に示してくれる重要な指標です。


だからこそ、偏差値を否定するのではなく、その意味と限界を理解したうえで活用することが大切なのです。


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教育には、すぐに結果が見えるものもあれば、時間をかけて育つものもあります。


だからこそ教育者は、一枚の成績表だけで生徒を判断することはできません。


数字を見る。


その背景を見る。


そして、その先にある可能性を見る。


教育とは、「今できること」を評価するだけでなく、「これからできるようになること」を信じる営みでもあります。


次章では、本稿のまとめとして、「偏差値は、あなたの価値ではない」というテーマについて、あらためて考えていきます。


 
 
 

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