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偏差値は、あなたを表しているのか。― 数字で測れるもの、測れないもの ―

偏差値は、本当に頭の良さなのか。


受験生にとって、「偏差値」という数字ほど身近なものはないかもしれません。


模試の結果が返却されるたびに、最初に目に入るのは偏差値です。


志望校を決めるときも、合格可能性を考えるときも、多くの場面で偏差値が基準になります。


その数字を見て安心する人もいれば、落ち込む人もいます。


そして、いつの間にか私たちは、こんなふうに考えてしまいます。


「偏差値が高い人は頭がいい。」


「偏差値が低い自分は能力が足りない。」


しかし、本当にそうなのでしょうか。


この問いは、決して受験だけの話ではありません。


社会に出ても、人は数字で評価される場面に何度も出会います。


売上、順位、年収、資格、ランキング。


数字は比較しやすく、客観的であるように見えます。


だからこそ私たちは、数字を「能力そのもの」だと考えやすくなります。


偏差値も同じです。


しかし、ここで一つ立ち止まって考えてみたいことがあります。


偏差値は、「能力」を表す数字なのでしょうか。


それとも、


「ある条件のもとで測定された結果」を表す数字なのでしょうか。


この二つは、似ているようで本質的に異なります。


例えば、身長が180cmある人は、「今日測った身長」が180cmなのであって、その数字だけで運動能力や健康状態まで分かるわけではありません。


体重も同じです。


健康診断で測る数値は重要ですが、一つの数値だけで、その人の健康をすべて説明することはできません。


偏差値もまた、一つの指標です。


重要な指標ではありますが、それだけで人の能力全体を語ることはできません。


実際、教育学や心理学の研究では、「学ぶ力」や「知能」は、一つの尺度だけでは捉えられないことが長年議論されてきました。


一方で、受験という制度において偏差値は極めて有用な役割を果たしています。


もし偏差値が存在しなければ、全国の受験生が自分の現在地を客観的に把握することは、今よりずっと難しくなるでしょう。


つまり、


偏差値は「意味がない数字」なのではありません。


また、「すべてを表す数字」でもありません。


問題は、私たちが偏差値を「何を表す数字として理解しているか」です。


教育に携わる者として、この点はとても重要だと感じます。


偏差値を正しく理解することは、自分自身を正しく理解することにもつながります。


そして、自分を正しく理解することは、これからの学び方を考える第一歩になります。


本稿では、統計学、教育心理学、認知科学、そして教育政策の視点から、「偏差値とは何か」という問いをあらためて考えてみたいと思います。


偏差値を否定するためではありません。


偏差値を、より正しく使うために。


 
 
 

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