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「なぜ優秀な人ほど、自分に厳しいのか。」

なぜ優秀な人ほど、自分を過小評価するのか。

― 心理学が教えてくれる「本当の自信」の正体 ―


「今回は全然できませんでした。」


そう話していた生徒が90点近い点数を取り、


「今回は結構できました。」


と言っていた生徒の点数が思ったほど伸びていなかった。


教育現場では、このような場面は決して珍しくありません。


一見すると不思議な現象ですが、心理学の研究では、この傾向を説明する考え方がいくつか示されています。


「本当にできる人ほど、自分に厳しい。」


なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか。


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知らない人ほど、「知らないこと」に気づけない


私たちは何かを学び始めたばかりの頃、


「意外と簡単だ。」


「もう理解できた。」


と思うことがあります。


しかし、学びを深めるにつれて、


「まだ知らないことが、こんなにもある。」


ということに気づき始めます。


知識が増えるほど、自分の課題も見えるようになるのです。


逆に、知識や経験が少ない段階では、自分が理解できていないこと自体に気づくことが難しくなります。


これは勉強だけではありません。


スポーツや音楽、仕事など、さまざまな分野で共通して見られる現象です。


経験を積んだ人ほど、自分の改善点を具体的に挙げられる一方で、初心者ほど「十分できている」と感じやすい傾向があります。


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「ダニング=クルーガー効果」という心理現象


1999年、アメリカの心理学者デイビッド・ダニングとジャスティン・クルーガーは、自分の能力をどのように評価するかについて研究を行いました。


その結果、能力が十分でない人ほど、自分の能力を実際より高く評価しやすく、反対に能力が高い人ほど、自分を控えめに評価する傾向が見られました。


この現象は「ダニング=クルーガー効果」として知られています。


もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。


しかし、多くの研究では、自分を正しく評価するためにも、ある程度の知識や経験が必要であることが示されています。


つまり、自信の大きさと実力は、必ずしも一致するわけではないのです。


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成長する人に共通する「メタ認知」


教育心理学では、「メタ認知」という能力が重要視されています。


メタ認知とは、


「自分が何を理解していて、何を理解していないのか。」


を客観的に把握する力です。


例えば、


「この問題は解ける。」


ではなく、


「この公式は覚えているが、なぜ使うのか説明できない。」


と考えられる人は、自分の課題を正確に把握しています。


一方、


「何となく分かった。」


で終わってしまうと、改善すべき点を見つけることができません。


近年では、メタ認知の高い学習者ほど、学習効率や問題解決能力が高いことが多くの研究で報告されています。


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本当の自信は、「できる」と思うことではない


私たちは「自信を持つこと」を良いことだと考えがちです。


もちろん、自信は挑戦するための大切な力です。


しかし、教育心理学では、本当の自信は「自分は何でもできる」と思うことではなく、


「自分の課題を理解し、それを改善できると信じられること」


だと考えられています。


そのため、本当に力のある人ほど、


「まだ改善できる。」


「ここは理解が不十分だ。」


と考える傾向があります。


一見すると自信がないように見えるかもしれません。


しかし実際には、自分を過大評価していないからこそ、成長し続けることができるのです。


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教育現場から見えてくること


日々、生徒たちと接していると、この研究結果と重なる場面を数多く目にします。


成績が伸び続ける生徒ほど、


「もう一度確認したいです。」


「この考え方で合っていますか。」


「ここがまだ理解できていません。」


と、自分の課題を言葉にできます。


一方で、理解が十分でないまま、


「何となく分かりました。」


で終わってしまうと、その後の成長が止まってしまうことも少なくありません。


もちろん、これは能力の差ではありません。


自分を客観的に見る力が育っているかどうかの違いです。


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「分からない」は、成長の始まり


「分からない。」


この言葉には、どこか消極的な印象があります。


しかし教育の現場では、むしろ前向きな言葉でもあります。


自分が分からないことを認識できる人は、その課題を解決する方法を考えることができます。


反対に、自分では理解したつもりになっていると、改善する機会そのものを失ってしまいます。


学びとは、自分の力を証明することではありません。


昨日より少し理解を深めること。


その積み重ねが、学力を育てていきます。


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謙虚さは、成長する人の共通点


優秀な人ほど、自分に厳しい。


それは、自信がないからではありません。


自分の課題を正しく見つめられるからです。


心理学では、このような「自分を客観的に捉える力」は、成長に欠かせない能力の一つと考えられています。


学びとは、自分の弱さを否定することではありません。


自分の課題に気づき、それを一つずつ乗り越えていく営みです。


だから、優秀な人ほど謙虚なのではありません。


**謙虚だからこそ、自分の課題に気づき、さらに成長できるのです。**


播磨塾でも、生徒が「分からない」と言えることを大切にしています。


その一言は、自分の現在地を正しく理解し、次の一歩へ進むための出発点だからです。


本当の学びは、「できる」と思った瞬間ではなく、「まだ学べる」と気づいた瞬間から始まるのかもしれません。


 
 
 

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